聞き手:
髪がぱさつく、ツヤがない…などと言いますが
具体的に髪が傷んでいるとは、どのような状態のことなのでしょうか?
★髪の表面
通常、健康なキューティクルは6〜8層をなして髪の内部を守っていますが、紫外線やシャンプーなどの物理的な力やパーマやカラーなどの髪に与えられる刺激によってキューティクルがめくれ上がったり、はがれたりすることで隙間ができてしまいます。
そのことで、触った感じがザラザラゴワゴワになり、小さな凹凸が増えることで、髪の表面で光が乱反射し、見た感じもツヤがなくなります。またキューティクルに隙間が出来てしまうことで、髪の内容物を守る機能が低下します。
★髪の内部
カラーやパーマなどの刺激によって、髪の中で支えている柱が科学的に切られることにより、髪の構造が弱くなります。1本の柱で支える家と10本の柱で支える家は強度を想像すると、髪の中の柱がしっかりしていることの重要性がイメージできるのではないでしょうか。
柱が切れて髪の構造が弱くなると、髪の内容物(タンパク質・脂質)が外に出やすくなり、髪の中に空洞が増えてしまいます。それにより、脂質がとどまりにくくなり、髪がぱさつきツヤが低下するのはもちろん、大変芯が弱い、へなっとした髪になってしまいます。
◎毛髪科学のプロ Mr.Kからちょっと詳しく◎
髪はのり巻きのような構造をしています。
のりがキューティクル、ご飯粒がコルテックス、かんぴょうがメデュラと呼ばれます。毛髪ではのりに相当するキューティクルが6~8枚重なっており、ご飯粒に相当するコルテックスの中には線維とそれをくっつける間充物質と呼ばれる物質があります。かんぴょうはあったりなかったりします。
ここ十数年の研究で、キューティクル同士やコルテックス同士をくっつけるCMC(細胞膜複合体)が毛髪の健康に重要であることがわかってきました。CMCは水や薬剤が毛髪に浸透するとき、通り道になる部分であるばかりでなく、毛髪表面では毛髪のツヤや手触りに重要な役割を果たしています。
パーマやカラーで毛髪が傷むとき、まずCMCが破壊され、キューティクル同士の接着が弱くなり、毛羽立って、ツヤや感触が悪くなります。さらにCMCが壊されたことで、内部の間充物質が流出し、すかすかの髪になって、適正な水分も保持することができなくなります。
これがヨレやパサつきの原因です。